三輪の森自然雑記帳

三輪の森樹木マップ

三輪緑地の自然(アルバム) 草本(春)、草本(夏・秋)、木本、シダ植物など

三輪の森自然雑記帳目次

どんぐり
実りの秋2023

どんぐり

クヌギコナラ

 童謡「どんぐりころころ」でお馴染み。左のクヌギ[ブナ科、櫟]はその代表。コロコロしていて棒を挿してコマにして遊びました。ドングリ[団栗]はコマの古名”ツムクリ”から変化したとの説があります。ドングリは苞が変化した殻斗(帽子?袴?)を付けています。クヌギは深いお椀型で、細い鱗片が重なっています。右のコナラ[ブナ科、小楢]の殻斗は大仏の螺髪のような突起が並んでいます。

シラカシアラカシ

 左はシラカシ[ブナ科、白樫]で、コナラと形が似ています。殻斗を見ると、同心円状に筋が膨らんでいるので区別できます。右のアラカシ[ブナ科、粗樫]はシラカシとよく似ていて、落ちた実で区別するのはむずかしく、木を見ます。
 ここまでの4種は渋が強くそのままでは食べられませんが、古く縄文時代から渋抜きの工夫をして食用にしていたようです。時代が下がっても飢饉のときには救荒植物として重宝されていました。

スダジイマテバシイ

 左はスダジイ[ブナ科、すだ椎]。果実は殻斗に包まれて育ち、熟すると殻斗が割れて実が落ちます。以上5種は町田の里山を構成する主要な樹木です。公園などによく植えられているマテバシイ[右、ブナ科、馬刀葉椎]は大きなドングリを付けます。殻斗はコナラに似ています。これらシイの仲間はそのまま食用になります。
 コナラ、シラカシ、アラカシは開花した年に結実します。他は開花した年は小さいまま越年して翌年熟します。山にあるブナやミズナラは年によって豊凶があり、不作の年にはクマなどが里に下りてきてニュースになります。
 ドングリはすべてブナ科の植物です。トチノキ(ムクロジ科)の実も大きくて似ていますがドングリの仲間ではありません。栃も渋が強いので、手間をかけて渋抜きをして様々な食品に加工されています。[里山ウォーキングマップ・多摩の自然雑記帳から転載](2310)

実りの秋2023

ヤドリギセンダン
 ヤドリギ(ビャクダン科-左)はサクラやケヤキなど落葉樹の枝についています。葉があり光合成出来るので、水分や養分を枝から貰っている半寄生植物です。種子のまわりに粘液があり、食べた鳥の糞が枝について増えます。常緑なので冬になると丸く育った枝の塊が目立ちます。高いところに生えているので観察が難しいのですが、三輪の森の入口、妙福寺脇のケヤキには低いところにあり、私的なシンボルツリーになっています。雌株には小さな丸い実がつき、2月頃にレンジャクの仲間が来てついばみます。(2309)
 左はセンダン(センダン科)で、道標⑫の傍にあります。「双葉より芳しい」のはこの木ではなくビャクダンです。葉が落ちても実は枝に残り、他に食べるものがなくなるとヒヨドリなどが食べに来ます。(2309)

キンモクセイカラスザンショウ
 三輪の森ビジターセンター下の林に大きなキンモクセイ(モクセイ-左)があります。庭木の数倍の大きさで、別種のような印象を受けます。2023年は猛暑のせいか開花が遅れました。日本には雄株しかなく実りの秋にも結実しません。稀に植栽されている変種のギンモクセイは2cm弱の黒い実をつけます。(2310)
 右はカラスザンショウ(ミカン科)で、道標⑦と⑧の中間点にあります。サンショウは良い香りで料理にも使われますが、イヌとかカラスとか動物の名がつくと役立たずのものが多いようです。サンショウより葉も大きく、高く育ちます。幹にはいぼ状のトゲの跡が残っています。(2309)

クリクサギ
 クリ(ブナ科-左)。野生種でもそのままで美味しく、大型の実は縄文時代から重要な食料でした。栗拾いは今でも秋の楽しみです。春、長くぶら下がるのは雄花で、雌花は付け根のあたりにつきます。匂いも強く虫を引きつけます。材は堅く腐りにくいので、かつては線路の枕木に使われていました。道標⑪から⑩にかけて、山の端にあります。(2309)
 右はクサギ(シソ科)です。名の通り、独特の強い匂いがあります。然し、若葉は山菜として利用されます。夏に雄しべ・雌しべを長く延ばした白い花が咲き、蝶が訪れます。秋に赤い萼が割れて星形に反り返ると青い実が顔を出します。その様子は美しく山歩きの楽しみです。明るい林の縁を探して下さい。(2310)